今日は、体外受精をする前にちょっと知っておきたい事、と題し、
こういう決断も迫られるかもしれない、という2点についてお話しします。
その①授からなかった時のやめ時
治療をステップアップすれば授かれるだろうと思う夫婦は多いと思いますが、実際には35歳で16.3%、45歳で0.6%という分娩率になっています。(日本産婦人科学会HPより)
授からなかった時の辞め時に関しては、夫婦で治療をしながら節目で話し合うといいと思います。
- 助成金の回数まで
- 妻の年齢が○才になるまで
- やりきったと思えるまで
など、治療を進めながら総合的に判断する事になると思います。
治療は時間もお金もかかります。
また仕事との両立や夫婦間の温度差など、長引けば長引くほど精神的にも追い詰められます。
治療を進めて初めてわかる事もたくさんあります。
その時々で、夫婦でよく話し合う事が大切です。
元バレーボール日本代表の益子直美さんは、「45歳の誕生日にきっぱり妊活を辞めた」とおっしゃっていました。踏み切れたのは旦那さんの「二人で楽しく過ごすことを考えたい」「直美の笑顔が見たい」という言葉だったそうです。
その②授かった後の凍結胚・余剰卵の廃棄
不妊治療を始める際は、とにかく授かりたい一心なので「うまくいった後のこと」まで気が回らないかもしれません。
それは余剰卵の問題。
採卵して受精卵がたくさんでき、運よく複数個凍結できたとします。
そして、その後無事妊娠出産となった場合、
第二子、第三子に向けて余剰卵凍結を維持する方もいますよね。
その場合、年間の凍結管理料はおおよそ2万円〜5万円です。
もし、「妊活を終えよう」と決めた時、
まだ凍結胚が残っていたらあなたはどうしますか?
できる限りお腹に戻してあげたい?
では4個も5個も残った際にはどうする?
受精卵として凍結した胚は、命の源であり今いる子の妹や弟になるかもしれなかった命。
年齢や体力的な問題、経済的な問題によりこれ以上の移植を諦めた場合、「後悔するかも」と思うなら凍結は維持するのがいいと思います。心の整理をつける時間にもなります。
破棄する受精卵はES細胞の研究に使われる道もありますが、研究過程で受精卵を壊すので倫理的な問題が残っています。研究機関に提供の可否はご自身のクリニックでお確かめください。
不妊治療者の中には、廃棄した受精卵と同じ数の置物を置いて忘れないようにしている、なんて方もいらっしゃいました。
これから治療をする方、治療中の方にはまだピンとこないと思いますが、治療の先にこういう判断が迫られる事もあるんだな、と一つお伝えいたしました。
最後に
不妊治療は先の見えない道を進むようなものです。
その都度夫婦でよく話し合って治療を進めてくださいね。